実は時々、アメリカでは素晴らしい療育がタダで手に入るみたいな風に捉えられていないかと、ちょっと心配になります。

実際はもっと複雑なんです。

今日はこの辺を書いてみます。

まずですね。アメリカと言っても州によって法律がかなり違います。アメリカ全体に適用される連邦法と州法があるのでややこしいんです。

イメージで言うと、基本的に州法に従うけれど、州法が決めていない事に関しては連邦法で最低限のとこはカバーしているって感じですかね?

障害児の教育に関しては、しっかり連邦法の方でも定められています。その法律は、

Individuals with Disabilities Education Act(IDEA)と呼ばれています。IDEAには、大まかに6つの項目があります。

太字は私の大雑把な説明です。

1.Individualized Education Program (IEP)
個別指導計画:個別指導が必要とされる子には、学校、学区、保護者のチームで明確な計画を立て、その子に合った指導を与えなさいヨ。

2.Free Appropriate Public Education (FAPE)
無償かつ適切な公教育:障害のある子も、州のスタンダードとIEPに沿って、無償で教育しなさい

3.Least restrictive environment (LRE)
できるだけ制限のない環境:障害があっても、できるだけ普通の環境、教育機会が与えられるようにしなさい

4.Appropriate evaluation
適切な検査:偏見などが無い、適切な検査で判断しなさい

5.Parent and teacher participation
保護者と教師の参加&協力:保護者と教師は情報交換をし協力しなさいヨ。

6.Procedural safeguards
手続き上の保護:保護者が不服がある時には、必要な情報の要求、"Stay Put" rights(現状維持の権利)、調停、公聴、法的手続きができますヨ。

もうおわかりですね。

1と2は「いいねえ!」となりますが、3、4、5は、「お、おう。」って感じですよね。保護者もそれなりの覚悟をしなければなりません。

そして6で「え?結局そういう事?」となります。w


これがアメリカです。

そして我が家は6スレスレのところにおります!

どういう事か説明しましょう。

ボビーはもちろん、渡米してからずっと、このシステムにお世話になっています。満4才になるまで、ギリギリ無償の早期療育も受けられました。

そこからは地元の公立プレスクール、キンダー、小学校にお世話になっています。すべてABAベースです。上の法律に従い、私たち保護者も全力を尽くしてきました。

しかし7歳くらいからでしょうかね。私たちの方から学校に、「この子はここではやっていけないんじゃないでしょうか?」という話を持ちかけ始めました。

もちろん保護者としても苦しい話です。

でも公立学校と学区は、上の3があるので、簡単には「はいそうですね。」とは言いません。4の適切な検査などを元に、慎重な判断が必要になります。子供の権利もあるので当然ですよね。

しかし9歳のIEPミーティングでは、だいぶ揉めました。
ボビーの安全に関する問題が増えてきていたからです。
学校で床に落ちているものを飲み込んで顔が真っ赤になり、危うく窒息するという事件もあったんです。

先生が止められなかった…。

それでも学区は、外部の私立学校への転校を認めてくれませんでした。

しかしその数か月後、学校の方から連絡が来ました。

私立の学校に移すためのミーティングをします。

その後も床に落ちているものを食べてしまう問題が何度も起きたんでね…学校は理由は明確にはしませんでしたが、そこで決定的に、「公立学校の教育がボビーには効果的では無かった」という結論が下されたんです。

ここまでがまず長い道のりでした。

これでもまだ私が住んでいる、アメリカでも特に教育熱心で福祉に手厚いとされるMA州の比較的裕福なエリア(つまり高い税金を払っている地域)の話です。

当然、地域によっては公立学校の教育も手厚く無いし、外部の学校に出す壁も高いと思います。


そして私立学校に移った後、ボビーは夏休みの間に暴れまくり、入退院を繰り返しました。そしてとうとう「緊急の寮生活」が認められたのです。

しかしそれでも、この寮生活はあくまでも「緊急の1年契約」。

IEPの一部では無かったのです。
だから”Stay put"も使えない…今はその戦いをしています。

寮が認められるのは今年一杯まで…このままではボビーは正月からまた自宅に戻る事になります。

もちろん学区ができるだけお金を使いたくないというのが、本当の事情です。

法律上では「子供たちには無償で適切な教育を。」とか言っときながら、実際の中身は金の問題よ!

なのでまた弁護士に頼み、実はここ1か月交渉を続けてきました。

図にするとこんな感じ。
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学校の決定権のある人は、ミーティングにさえ顔を出しません。誰も顔を見た事が無いので、私とオット君は「ユニコーン」と呼んでいます。

ユニコーンは、言われた通りに私たちにプレッシャーをかけてくるジーニーをIEPミーティングに送り込んできます。私たちがどんなに寮生活の必要性を訴えても、ジーニーはユニコーンの命令通りに答えるだけ。

ジーニーの自閉症に関する知識はゼロです。

そうと来れば、こっちは弁護士を送り込みます。

すると向こうも弁護士を用意しているのです。

これがアメリカ!

もはや当事者の会話で無くなっている!w

ぶっちゃけ、交渉だけで毎年何十万円もかかっています。
言っとくけど、うちは金持ちじゃないよ!泣

もっと貧乏だとボランティア弁護士を使えたりするらしいけれど、うちみたいな中間層が一番きっついのよ。
何の助けも無く。日本もそうだと思うけど。


でもね。ボビーの安全のためにはこっちも必死。

こんな生活、日本で報道されてないでしょ。

私のブロ愚の貴重さときたら!

まあそれでもアメリカの方が、権利や制度が整ってることは整ってるとは思うけどね。

普通の育児も、障害児育児も、アメリカは基本、日本よりずっと金がかかる。親の責任もかなり問われる。

日本はかなり甘い。優しい。
今だからこそ、そう思う。



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